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導入事例

PNS(Perfect Network System of Liberty)

PNS導入で製造過程の透明性・信頼性の高い製品を提供し、同時に現場作業の就労環境を改善!

案件 PNS導入工場レポート
お客様 吉田生コンクリート 様
システム PNS(Perfect Network System of Liberty)

◆吉田生コンクリート様について

image1吉田生コンクリート(奈良県奈良市、吉田桃子社長)の所在地は古都、奈良の中心市街地から南へ約3㎞。奈良県中央生コンクリート協同組合の組合員として地域の需要に応えている。同社の設立は1963年4月1日。創業者である故・吉田春雄氏によって、本格的に生コンクリートの製造販売を開始。以来、長年にわたって地域の社会資本の建設に生コンの供給で貢献してきた。

一方で、県下の需要環境は全国的な傾向と同じく、生コンの出荷量が10年前と比較して約3割減となり、35あった生コン工場は現在では20工場に集約され、同社は奈良市内で操業する唯一の生コン工場となった。こうした厳しい環境の中でも、吉田生コンクリートは時代のニーズを見据えて、様々な取り組みを進めている。

 

◆吉田生コン様の先駆的な取り組み

image22015年9月に普通セメントで、17年9月には普通セメントと中庸熱セメントで、高強度コンクリートの国土交通省大臣認定を単独で取得した。観光地という土地柄もあり、同社の全出荷数量に占める建築物件の割合は比較的高いものがあるが、歴史的景観を守るためにオフィス等の構造物に高さ制限が設けられており、高強度コンクリートの需要は決して高いものではない。しかし、吉田社長によると、高強度コンクリートは例え将来的なニーズであっても、業界全体にとって必要な技術であり、また同社が大臣認定を取得して高強度のノウハウを得ることが、結果的に地域の生コン業界全体にとって役立つとの方針のもと、単独認定取得に踏み切った。なお吉田社長は現在、奈良県生コンクリート工業組合の理事長も務めている。

また同社は、軽量コンクリート、透水性舗装用ポーラスコンクリートの製造・出荷でも実績を持っている。透水性舗装用ポーラスコンクリートは受け手のゼネコンと連携を進めて実験を行い、ゼネコンが指定する配合に加えて、同社独自の配合も確立しており、様々なニーズに対応が可能だ。天然骨材を入れて練り混ぜ、表面を洗い出す、より景観性の高いポーラスコンクリートも手がけている。透水性舗装向けのポーラスコンクリートの製造・出荷ではすでに10年近い実績があり、県下ではユーザーから一番初めに依頼を受ける程の信頼関係を築いている。最近、奈良県生コンクリート工業組合、奈良県中央生コンクリート協同組合が、ともにオフィスを新しく建て替えたが、ともに敷地内には同社が出荷したポーラスコンクリートによる透水性舗装が採用されている。

このように同社は地域の生コン工場の先導的役割を果たしてきたが、こうした方針の中で、2017年10月に新たに導入したのが、リバティのPNSだ。

 

◆PNSについて

PNSはリバティが独自に開発したオリジナル多機能操作盤「Alivio」を中心に、品質管理、出荷管理、販売管理、動荷重といった各管理システムと、骨材表面水率測定器「CONGⅡ」、単位水量測定機器「NACOM」をネットワークで結び、算出されたデータをリアルタイムで自動的に製造工程管理に活かしていくというコンセプトで開発された生コンのトータル管理システムだ。水の管理を徹底して行い、その数値を直ちに可視化、製造現場で共有することで工程管理に活用していける点に大きな特徴がある。

 

◆PNS導入プロセス

image4同社の最も直近のプラントのSBは2003年で、その際に現在の強制二軸練り2500リットルミキサや操作盤などのハードの再整備をしているが、その後、ソフトについては、リバティの品質管理システム、出荷管理システム、販売管理システムを導入して、現場作業の効率化を図っていた。こうした段階を経て、同社は将来に向けて、より、高度で合理的な生コンの供給体制を構築するべく、昨年、次世代型トータルシステムをフルスケールで採用した。

吉田生コンクリートには既に品質、出荷、販売管理システムが導入されていたため、これらに加えて新たにAlivio、CONGⅡ、NACOMなどの機器が導入され、PNSネットワークが構築された。既に同社工場で取られた各測定器の計測データは実測値とのすり合わせの結果、良好な数値を示しているが、今後は約1年をかけて、校正作業を行い、より精度を高めていく。真夏、真冬を通して、信頼のできる校正を行い、夏季には日本建築学会の指針で定められている暑中コンクリート対策にも応用していく方針だ。

 

◆信頼性の高い製品を提供+現場作業の就労環境を改善

image8現場からはシステムを導入したことで、製造工程のオペレーティングを担う作業者の環境が改善された、との声があがっている。CONGⅡによる管理で、骨材の表面水率がグラフと数字で可視化され、現在の状態として表示できるため、「気持ちの上でも安心ができ、管理に集中できる点が大きい」とのこと。

当初はPNSの導入について、現場では判断がつかない部分もあったが、最終的には吉田社長の「製造過程の透明性を追求し、信頼性の高い製品を造ることが、ユーザーにも社員にも良い効果をもたらす」という経営判断が今回の設備投資の決め手になった。実際に生コンのユーザーに対しては水の管理を徹底した透明性・信頼性の高い製品が提供でき、社員に対しては現場作業の自動化・合理化、負担軽減といった就労環境の改善が期待できる。従来の様に熟練労働者に頼らなくても、良質な生コンが製造・出荷できるため、女性や若手の社員にも活躍の場を拡げることが可能だ。最終的には1バッチごとの、全量の自動管理による生コンの製造・出荷を目指す。

 

◆出荷管理と連動した電光掲示板の採用

image7同社の年間出荷量は一昨年が5万5千㎥、昨年が3万8千㎥で推移しているが、月でみると時期によっては2千~5千㎥と変動が大きい場合がある。このため昨年には小型ミキサ車を2台購入し、現在大型を8台、小型を4台保有しているが、状況に応じて庸車も活用している。

車両の管理では出荷管理システムと連動させた電光掲示板を採用している。電光掲示板には『今回』、『次回』、『次々回』に生コンを積んで発車するミキサ車の番号が表示される。この電光掲示板をホッパーの下の車両の出入り口の正面に設置することで、各ドライバーが確認でき、場内アナウンスの必要が無くなる。作業の効率化に加えて、周辺に音を漏らさないという効果もあるという。

 

◆地域への貢献に向けた取り組み

同社が所属する奈良県中央生コンクリート協同組合は現在、同社を含む8社8工場で活動している。現在のエリアの需要は変動や偏在が大きいが、協組のシェア運営が堅実に機能していることもあり、生コンの市況は堅調に推移している。

吉田生コンクリートは、奈良市内唯一の生コン工場として地域のモデルプラント的な役割も務めており、ゼネコンからの要望に応え、教育研修での工場見学に協力したこともある。これからも生コンプラントとして、業界全体が発展するための取り組みに邁進し、地域社会に貢献していきたい考えだ。

 

※本事例は、コンクリート新聞2019年1月10日号に掲載された記事を加筆・修正したものです。

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